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梅島池袋化のご案内~おまけ英文和訳・和文英訳問題 [通訳よもやま話]

本日のライブのご案内は本稿の最後のほうにございます♪

次の英文和訳・和文英訳の間違いを訂正せよ:

1.英文和訳

I want to charge him with battery.

私は彼の電池を充電したい

2.和文英訳

「ラーメンは誰ですか?」 「ラーメンは私です。」

"Who is Ramen? " "I am Ramen"

3.和文英訳

私、興味あります!

I am interesting!

答えに自信のある方はしばらくご回答をお控えください(笑)
(目安としては今日の夜くらいまで)

閑話休題:

本日!

2011/2/25(金) Beg Your Pardon? presents 梅島池袋化 Vol. 12 
Open 19:00 Start 19:30 Charge 2,000 + 1 drink

出演順確定いたしました!


19:30~20:00
【タジユキヒロ】
タジユキヒロ(Vo/G)

20:00~
【藤井貴樹カルテット
藤井貴樹(As)
Sayu(org)
吉良創太(Ds)
じゃいあん(b)

20:30~
【Atomic Cafe
田中 誠(G)
石井 康幸(bs)
谷本 朋翼(ds)

21:10~
【MANTRA】
ミヌマユキヲ(g)
白子弘昭(per)
じゃいあん(b)

22:00~
【Beg Your Pardon?】
丸尾一平(vo/gt)
カトウジン(ds);
じゃいあん(vo/bs)

(時間の表記はあくまでも目安となります)

通訳とは恥をかくことである! [通訳よもやま話]

皆様お元気ですか?

ワタクシは昼の英語通訳のお仕事がピークまっさかり。
アドレナリン出まくりな毎日を過ごしております。

本日は珍しく夜のレセプションのお仕事。
某外資系企業の○×周年記念パーティイベントで都内某ホテルの大宴会場で華やかに。

前日夜ギリギリになって渡されたCEOのスピーチの原稿が当日直前で更に大幅に変更、おいおいこっちは必死で睡眠時間削ってベタ訳を作ってきたのに苦労が水の泡じゃないか、とか、会場の大宴会場の音響がご多聞にもれずナチュラルリバーブ全開でスピーカーを通して聞こえてくる音がウワンウワンに回ってて半分くらいしか聞き取れないじゃないですか、ですとかいろいろな逆境にもめげずに何とか、大崩れなどなく通訳を進めていきます。

レセプションも佳境、チャリティーミニコンサートで思いもかけぬ、本日最大の難関に頭を抱えることに。

コンサート中は、通訳は必要でないだろうとノーケアでいたら、日本人のシンガーの方の日本語での曲間のMCも英訳するはめになりました。

…油断してました。

そしてよりによって肝心の演奏曲の紹介で右往左往するはめに

本日の演奏曲目は:

踊り明かそう(My Fair Ladyより)  埴生の宿  赤とんぼ  オーソレミオ

皆さんこれ英語で何ていうか知ってます?(涙)

オーソレミーオはイタリア語、O Sole Mioで大丈夫なので難なきを得ました。

埴生の宿は、遠い昔の記憶4割、ヤマ勘6割で、"Home Sweet Home"と訳したら、ピッタシカンカン(古!)でした。会心、というか単に当てずっぽうの正解に思わず自分をほめてやりたくなりました。

赤とんぼはこれは日本の曲なので、英語タイトルは存在しないだろう、と"Red Dragonfly"とベタな直訳をかましてやりました。意味的にはあってますが、風情が台無しですね。英語にすると何だか対戦車ヘリコプターか!という突っ込みの一つでも入れたくなります。

「踊り明かそう」はあきませんでした。何も分からないので

"Let's Dance"

という非常に適当な直訳をかましました。そりゃデビットボウイだってば!(涙)

正しくは、"Could Have Danced All Night"だとか。

…見事に生き恥さらして参りました。

まあ、結果的には2勝1敗1分け、ともいえなくもないですかね(苦笑)

閑話休題、今週末の演奏活動のご案内です:

2010/11/20(土) 浅野組@西池袋Free Flow Ranch Vo. 浅野彩、Gt. Vo 浅野高広 Kb, Accordion 仲 靖史 Ba Cho 土屋晃 Dr 土屋薫 Gt Cho 丸尾 一平 18:00Open 20:30~ゆるゆると2ステージ演奏します。 チャージなし、投げ銭制です。

我らが「浅野組」FFRデビューライブです。
彩ちゃんの透き通ったボーカル、浅野組のレイドバックした演奏でFFRのお酒とお食事をお楽しみくださいませ!



英語に訳しにくい日本語~言葉の守備範囲パートⅡ? [通訳よもやま話]

先日の日記で

This is a Picture



これは一枚の絵です

は正確には意味が違うってのことを書きましたが、これはpictureという単語の両義性が問題でして、

pictureってのは写真と言う意味もという意味も併せて持っているわけですね。ですのでThis is pictureと言われたら、コンテキストがないと、絵と訳せばいいのか、写真と訳せばいいのか分からなくなっちゃうわけですね。

ちなみに、先日の日記にて、ミル姐さんというボストン在住の英語が非常に堪能な方がコメント下さいましたが、"picture"という場合は通常は写真を指すことが多い、のだそうです。絵について言う場合は"painting"ですとかもう少しどんな絵なのか具体的に分かる言葉を使うそうです。勉強になりました、ありがとうございました!

さてさて、それとは微妙に違いますが、「アナウンサー」「芸能人という日本語もこりゃまた、実は英語に訳しづらい…。

先日アメリカ人と業務外でお会いする機会がありまして(妹の新しい彼氏が何とアメリカ人。しかも超絶テクのギタリスト…。何だかすごい展開です(笑))、そんな話をしてみたんですが、

当初彼は、アナウンサーはnewscaster、芸能人はcelebrityでいいのでは?と言ってました。

しかし、日本のアナウンサーの現状、バラエティから何から全てをこなしていて、ヒトによっては報道の「ほ」の字とも縁がないような状況を考えると、"newscaster"とは呼びたくないですよね。

結局"announcer"というやや和製英語チックな英語を使うしかないのかもしれませんね。

"celebrity"はこりゃまた守備範囲がややずれます。「芸能人」とは基本的にはエンターテイメントビジネスにいる方を指しますが、celebrityは有名人・名士といった意味の言葉で、例えばこんなサイト(http://www.askmen.com/celebs/men/apr00/21_steve_jobs.html)を見ると、AppleのSteve Jobsやら、Barak Obama氏までcelebrityとして取り上げられてます。彼らは決していわゆる芸能人じゃあ、ありませんよね…多分。

一方で「芸能人」と呼ばれる方の中にはちょっとcelebrityという概念から外れる方もいらっしゃるのではないかと。例えばMr.オ×レさんですとか。江○2:5○さんですとか。

entertainerとう訳し方もあるのかもしれませんが、日本で言う「芸能人」が全て"entertainer"と言えるのかどうかもやや怪しいような気がします…。何となくニュアンスの違いを感じてしまいますね。

そんな話をしていたら件のアメリカ人も「確かに、訳しづらいね」と納得しました(笑)

…閑話休題(うちのドラムにまた閑話が長いと突っ込まれそうですが…)

BYP? presents 梅島池袋化計画 Vol.10】 自称【梅池フェス】

http://www.yukotopia.jp/
2010/9/24 (金) "Beg Your Pardon ?" @ 梅島 YUKOTOPIA
丸尾一平(vo/gt)、 じゃいあん(vo/bs)、 カトウジン(ds);

19:00 Open 19:30 Start Charge 2,000 Yen

※出演順決定
19:30~20:00
【タジユキヒロ】
タジユキヒロ(Vo/G)

20:00~
【Chubin】
Chubin(Vo G)

20:30~
【Magic Bus】
松田圭介(vo)
平岡大典(gt/pf/vo)
中島俊哉(bs)
カトウジン(ds)

21:20~
【大塚シンジケート】
富山馨 (g)
一戸智之(k)
土屋智保 (dr)
じゃいあん(b)

22:00~
【Beg Your Pardon?】
丸尾一平(vo/gt)
カトウジン(ds);
じゃいあん(vo/bs)
(タイムテーブルはあくまでも目安となります)

東京ジャムシーンの総本山、Yukotopiaにて、いんちきジャムバンドBeg Your Pardon?がお送りする企画「梅島池袋化計画」今回も僭越ながらBYP?が敬愛するミュージシャンの方々と共演いたします。BYP?はいつもどおり、行き当たりばったりのライブを繰り広げます。

会場tel: 03-3886-2996

梅池フェスでは随時出演を募集しています。
条件等、お気軽にメッセージにてお問い合わせ下さい!





☆特に過去の出演者の方のご来場をお待ちしております☆


コトバの守備範囲 [通訳よもやま話]

以前の日記で、

「彼はひげをはやしている」

という日本語英語訳と、

"She is my sister"

という英語の日本語訳って悩ましいですよ

というようなことを書きましたが・・・

…これは日本語と英語における「言葉の守備範囲」のずれによるもの、という言い方ができます。

実は日本語の「ヒゲ」と全く同じ英語は存在しません。
存在するのは beard 「アゴ」ひげ、moustache 「口」ひげ、sideburn「ほお」ひげ、といった言葉があるだけ。

つまり、日本語では「髭」として、顔の下半分に生えている毛を十把一からげに捉えてしまっているのが、英語ではさらに細かく生えている場所によって、それぞれが別の存在になっているわけですね。

ようは「髭を生やしている」と言われただけでは、そのヒゲを生やしているその彼を実際に見てみないとそのヒゲが果たして、moustacheなのか、beardなのか、sideburnなのかが分からないため訳しようがない…。

まあ、ZZ Topの話をしているのかチャップリンの話をしているのか、X-menのツメのとんがった人の話をしているのかによって、訳が変わっちゃうのですよ。

She is my sister

は逆のパターンで訳しづらい…。
彼女はワタシの「キョウダイ」です、という訳し方は出来ますかね。キョウダイが、兄妹なのか、姉弟なのか、姉妹なのかは当然、コンテキストによってきます。

日本語では、「キョウダイ」が男女どちらなのか、上下どちらかなのかによって、兄、弟、姉、妹の四つに分けられるのに対して、英語では、上下に対する差別なく、brother, sisterと二通りにしか分けてないわけですね。


こういう言葉の守備範囲のずれ、ってのはワタシの商売、通訳者にとっては悩ましい問題です。センテンスを字面で聞いただけでは正確に訳しようがない、というジレンマに陥るわけです。

とかく通訳者なり翻訳者といった職業の人間は、とにかく少しでも多くの周辺情報、すなわちコンテキストに対して貪欲にならざるを得ないのです。

同じような意味合いで

This is a picture

と、

これは一枚の絵です

では意味が完全に一致していないということが言えます。

なぜでしょうか??  答えはまた後日!

閑話休題。相変わらず閑話が長いっす。

…規制閑話? 


2010/8/28(土) 浅野組@町田 万象房

Open 18:30 Start 19:30
2ステージほど演奏します。チャージ無の投げ銭制です。

7月の梅島に続き浅野組がライブを行います。今回はアコースティック編成にて。浅野彩ちゃんの透明感あふれるボーカルと、浅野氏のアーシーなギター、ボーカルをご堪能下さいませ。

お店HP
http://musictown2000.sub.jp/banshowboh/

2010/8/30(月) 丸尾一平 @ 高田馬場「四谷天窓」

18:30 OPEN/19:00 START/チケット代¥1,000- (1DRINK別)

出演(順不同):久保トモヒロ/ミナミシンタロウ/ボクダンガン/
monogiram/丸尾一平


丸尾一平は出演5組目、最後21:00過ぎの演奏開始となります。


あいも変わらず、場違いかつロックに弾き語ります。
http://www.otonami.com/tenmado/news/index.htm


通訳者はつらいよ [通訳よもやま話]

本日(正確には昨日)は今のところ今年ナンバーワンのつらいお仕事でした。多分このまま順当にいけば、今年一番のつらい仕事になるのではないかと思います。

英語通訳者の仕事の醍醐味の一つは、いろいろな経験ができること。英語と日本語の間のコミュニケーションが必要なシチュエーションであれば、ありとあらゆる場面で私たち通訳者にお声がかかるわけで、普段の生活の中では出くわすことができないような、いろいろな経験が出来るのが日々楽しくでしかたありませんでした・・・。しかし「多様な経験」にはこんな落とし穴もあるんですね。

本日のお仕事は工場見学。

メカ好きな男子通訳者としては、工場見学のお仕事はとても楽しいお仕事です。今までもたくさんの工場の中で、お仕事中のメカの姿に心躍らせながら、お仕事をしてきました。ああ、でも今日はあんな恐怖が待ち受けているなんて・・・。

とりあえずは順調に工場見学が進みます。得意な分野のお仕事ということもあり、専門用語もすらすらと訳せていたこともあるのか、初めてご一緒する、お得意先の「おぬし、なかなかやりおるな」的な視線も感じつつ、楽しくお仕事をしてましたよ。見学が進むにつれ、階段・エレベータでどんどん建屋の上のほうに上っていたことはあまりきにしてませんでした。

「さあ、次はあのドアを出たところで説明しましょう」と引率の工場の方。

・・・ドアを開けるとそこは・・・。

地上40mはあろうかという天空の世界、しかも足場は頑丈なのでありましょうが、いわゆる鉄格子の、すぐ足元の下界がすーすー透けて丸見えな世界。

はい、ワタクシ、筋金入りの高所恐怖症でござんす。


ええ、それでも歯を食いしばって、視線をとにかくなるべく遠くに置いて、叫びだしたい衝動に駆られつつ、NOxだSOxだ、集塵機だ何だという専門用語をクリアしつついかにこの工場がいかにエコに優しいか、ガッツで通訳しましたよ。5分ほどでその場を離れましたが、自分をほめてやりたい、と思っていると・・・。

「次は屋上に行きます。地上80Mの世界が体験できますよ。」

・・・倍の高度ですか・・・何とかなりませんでしょうか?

そして屋上につきドアをあけると・・・。

そこは地上80mの神々の住む世界。目の前に広がる空、その下に遠く広がる青い海・・・そしてその素晴らしい景観と下界をわけへだつのはワタシの腰よりちょっと高いだけの柵・・・。そして時折、背中を軽くなでる、いたずらな海風(結構な強風で吹き飛ばされるんじゃないかとの取り越し苦労に気が気でない。)

その次の10分弱はまさに生き地獄ですよ。とにかく柵の2m以下には近寄らないように、へっぴり腰で、それでも何とか通訳だけは続けます。

そしてこういうときに限って見学者からは、質問が次々と飛び出します。

いえ、あなたのその好奇心は職務上当然ですし、むしろ素晴らしいと思いますがここは私に免じてどうかどうか、早めに切り上げていただけないものでしょうか・・・?

気まぐれな風がふくたびに「さとこ、さようなら、たいち、さようなら、僕は今まで幸せでした」、とプチ遺言など唱えつつ、何で他の人たちはこの状況が平気の平左なんだ、さっぱりわからん!と心の中で叫んでました。

屋上の見学が終わり、地上に戻るころには半ば放心状態。

見学終了後、質疑応答の時間もあったのですが、「何か質問は?」との問いかけに見学に参加したお客様がみな口をそろえて「もう質問はないよ」

ここにきて質問がネタ切れになるくらいなら、屋上での質問なんか早く切り上げてこの時のためにとっておきゃよかったじゃねえか、とごくごく一瞬極めて理不尽な怒りに駆られました。

・・・高所での行程中、とにかく根性で通訳を続けましたが、冷静になって振り返るとかなり挙動不審だったのではないかと思います・・・。お客様、申し訳ございませんでした。

とても気のいいお客様ばかりで、高所ストレス以外はとても楽しかったのですよ。帰り道、電車まで30分ほど時間があったので、駅前のパブでみなでビールで乾杯、ワタシも一杯ご馳走になりました。「よくやった」というお言葉は通訳の出来がよかったからなのか、顔面蒼白になりながら、とにかく最後まで通訳を続けたことに対する同情・ねぎらいだったのか、果たしてどちらだったのでしょう?


・・・閑話休題

今週末のライブのご案内です。皆様ぜひお誘いあわせの上、お越し下さいませ!

2010/7/30(金) 『BYP? presents 梅島池袋化計画 Vol.9』 at 梅島 Yukotopia 19:00 Open 19:30 Start Charge 2,000 Yen

http://www.yukotopia.jp/
会場tel: 03-3886-2996

東京ジャムシーンの総本山、Yukotopiaにて、いんちきジャムバンドBeg Your Pardon?がお送りする企画「梅島池袋化計画」第九弾!今回も僭越ながらBYP?が敬愛するミュージシャンの方々と共演いたします。

今回の出演は、

タジユキヒロ
浅野組
Beg Your Pardon?
吉田みのるバンド (仮称)
ねじ巻きboys

となります。


特に過去の出演者の方々のご来場をお待ちしております






梅池フェスでは広く出演者を募集しております。
ジャンル、編成は問いません。

どうぞお気軽にお問合せ下さい。

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通訳者のメモの取り方について(2) [通訳よもやま話]

こちらの投稿については、2009年に株式会社 アイ・エス・エスのウェブサイトのコラムとして寄稿されたものに、筆者が若干の加筆を加えて、当ブログサイトに「引っ越し」てきたものです。(アイ・エス・エスのウェブサイトでの掲載はすでに終了しております。)ご了承くださいませ。

第五回 ノートテイキング(2)

皆様、いかがお過ごしでしょうか?


さてさて今回も、前回に引き続き、ノートテイキング、メモとりのお話です。

さて、前回に引き続き、私が前回のエッセイの冒頭部の逐次訳するのであればどういうメモをとるのか、更に見てみましょう。参考まで、前回のエッセイの冒頭部はこんな感じでした。

皆様、お元気ですか? ちょっと前ですが、通訳者として気になるニュースがありました。 グルジア政府が、日本政府に対して、自分たちの国の名前を、「グルジア」ではなく「ジョージア」にしてほしいと要請したとのこと。・・・(1) そう、日本ではグルジアと知られている彼の国、実は英語ではGeorgia, Ray Charlesがわが心の・・・と歌ったアメリカ南部の州、そして日本では缶コーヒーでおなじみ、ジョージアと同じ名前だったんです。 私も最初、確かJapan Timesだったと思うのですが、Georgiaという国名を見たときに、どの国のことかさっぱりわかりませんでした(苦笑) 仕事中のことでなくて本当によかったです(笑) ・・・(2)

前回お見せしたメモはこの文章の(1)までの内容をメモったものでしたね。さて、メモを活用して、(1)までの内容は訳し終わりました。そこでまたスピーカーの方がしゃべり始め、(2)のところで逐次通訳を入れてもらうために話を止めました。まさにその時点で、私の手元のメモはこうなっております

ISSメモ004Small.jpg

さあ、いくつかのことに気づかれたのではないかと思います。

まずすでにこの時点で訳し終わっている、(1)までのメモは縦線で消されていますね。これもまたノートテイキングの基本となります。

訳し終わった内容は必ず、縦線で消すこと!

理由は簡単、極限状態で通訳をしている状況ですと、これをしていない場合、自分の目の前にあるメモのどこからどこまでがすでに訳し終わった内容で、どの部分から訳出を始めればいいから、いとも簡単に忘れてしまうからです。バツでも構いませんが縦線のほうが一手間省けてよいでしょう(笑)
削除の縦線を引っ張るのは、訳し終わったらすぐ、スピーカーが次の話を始める前にやっつけてしまいましょう。でないと今度は削除線を引っ張ることを忘れます(笑)

それと、前回のメモにもありましたが、メモが横線で区切られていますね。

文章の区切りをわかりやすくするように、センテンスの終わりは横線で区切る!
これも多くの通訳者の方々が実践されていることではないかと思いますが、文章の区切りごとに横線を引っ張って、どこからどこまでがワンセンテンスになるのかを把握します。

ひとつ、この際のコツは、原文の文章の区切りに忠実に横線を引っ張る必要はないですよ、ということ。例えば、こういう方って結構多くいらっしゃいます →日本語でしゃべる際に「。」で文章を区切ることをせずに「、」でつなぎながら延々としゃべり続ける方・・・(通訳者的にはかなりやっかいな手合いです(苦笑))。この人の「文章」の区切り通りに横線を引っ張ろうとすると、一回の発言が2分間続いてその間、一回も横線が引っ張れませんでした、なんてことになりかねません。

そういう意味では、自分が実際に訳す時に、ここであればセンテンスを区切れるであろう、という場所、すなわち意味的な区切りで横線を引っ張ってしまうようなアプローチのほうが効果的ですね。

ごくごくまれに、意味的な区切りすらどこにあるのかがわからないような、ぶっ飛んだ発言をなさる方もいらっしゃいますが・・・その際は素直に横線を引っ張るをあきらめるしかないですかね(苦笑)

それと、メモの中にとても文字とは思えない怪しげな記号のようなものがありますよね(笑)
左列、Gvtの隣にある、記号、日の丸、つまり日本です。右列上、レイチャールズの上の記号、ユニオンジャック、「英語」(あるいはイギリス)です。皆さんにそうは見えなくとも、私の中では断固として日の丸とユニオンジャックなんです(笑)

記号を活用しよう!

自分が通訳することの多い分野などに応じて、特に頻度の高い言葉などは、メモの時に使える自分なりの「記号」を決めておいて活用すると効果的です。シンプルな記号を考えておけば、言葉を書き取るよりも簡単に素早くメモをとることが出来ますし、また、「絵」という視覚に訴えることにより情報が頭の中に入ってき易くなる効果もあるんじゃないかと個人的には考えております。

私が常日頃よくつかっている記号は以下の通り。

ISSメモ005S.jpg

それぞれ、① 増加、上昇、成長 ② 減少 ③ 数字の横において、以上、以下 ④変動、fluctuation ⑤ 変化(あまり変化っぽくないですが私の中では変化です)⑥時間(時計に見えないですか?) ⑦ 環境(システム環境)、エコ、(木に・・・見えませんよね) ⑧ 括弧 これは前回メモをとらなきゃいけない情報!として紹介した5.並列な情報の羅列の際に、並列関係を示すために使っています。 ⑨ 画面 (2分間ほど見つめ続けていると、多分パソコンの画面に見えてくるはずです) ⑩ 会社、ビル (ビルの絵です。誰がなんと言おうとビルです) ⑪ データベース。(システムの構成図などでDBは実際にこのように表記されているようです) ⑫ 聞く ⑬ 話す ⑭ 見る(余裕があるときは睫毛をかいたりすることもあります) ⑮ 日本 ⑯ アメリカ (星とストライプなしのStars and Stripesです) ⑰ 中国  ⑱イギリス(とてもおざなりなユニオンジャックです。これについては素直に「英」って書いたほうが楽じゃん、という話もありますが・・・(笑))

矢印や○は、多くの通訳者の方々に活用されていますね。増加や減少、その他いろいろな表現に活用されています。それと否定を示す際には×を使ったりもします。皆さんも自分自身の記号、自分なりの方法論をいろいろと編み出してくださいませ。

記号を使いこなすのに一つとても重要なこと、それは 「絵心は必要ない!!」ということです(笑)
私の記号を見てれば分かりますよね。

略称を活用しよう!

メモ中にあるGvt = Governmentといったような略称も活用しましょう。

これもまた殆どの通訳者の方が実践されているのではないかと思います。

個人的には略称は、二つのレベルで使い分けています。

一つは、ユニバーサルなもの、つまりどんな分野のどんなお仕事であっても、常にこの略称が出てきたら、この言葉と、自分の中のルールとして決めているもの。例えば、以下の略称は、私はいつでも同じ言葉の略として使っています。(たまに例外はありますけどね)
Bk (Bank) NW (Next Week, or Net Work), LW (Last Week) TW (This Week) Fin (Financial) FI (Financial Institution), FW (Firewall), Sls (Sales), Prf (Profit) Gvt (Government) Acct (Account) Mgmt (Management) Adm (Adminitrative / Administration)

・・・などなど

一つの略称が二つ以上の意味を持っているケースもありますが、そのあたりはコンテキストで見分けることができるのでさほど問題ではないかな、と思っています。

もう一つの略称は自分の中の「日替わり略称」。

即ち、その日その日、お仕事毎に使い分ける略称。その日のお仕事(あるいは学校の課題)で頻出しそうなキーワードについては、その場で何らかの略称を決めてしまうのです。

例えば、今日はソニーさんのお仕事なのでSとメモったら、らソニーさんのこと、でも明日は自動車のスズキさんのお仕事なので、Sとメモったらスズキさんのこと、と言った具合にお仕事により毎日使い分ける略称。自分の場合は、ユニバーサルなものでない、日替わり略称については、他のアクロニムや略称と区別するために○で囲うようにしています。

記号にしても、略称にしても大切なことは、きちんと自分の中で体系的にルールとして確立してなるべくそこから「ぶれない」ようにすること! 日替わり略称以外は、毎日同じ記号や略称を使うように心がけましょう。その場その場のアドリブであまりクリエイティビティを発揮してしまうと、書いた二分後には自分のメモに書いてある記号や略称が何のことだったか思い出せない、という羽目に陥りかねません。

もう一つ、略称ではありませんが、単語を書く際に、必ずしも最後まできちんと書く必要はありませんよ、というのもコツの一つかもしれません。

例えば、implementationという言葉、impとしかメモらないと、impossibleなのかimplementationなのか区別がつきませんし、implまでメモっても、implication なのかimplementation なのかわからなくなってしまう可能性がありますが、impleまでメモってしまえば後のつづりは書き留めなくてもimplementationあるいはimplementのことである、とわかるのではないかと思います。

Implementationなのかimplementなのか、名詞なのか動詞なのか品詞がわからないと困るじゃないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、頭の中にきちんと話の内容をリテンションできて入れば、メモ上では品詞の区別がつかなくても、全く問題はないはずです。

ただし、逆もまた真なり、です。少なくともどういう単語か認識できる程度までにはきちんとメモをとること。これもノートテイキングのトレーニングをやっているとよくあることなんですが、例えば、implementationという言葉をメモるのに、”i” としかメモらないような生徒さんがいらっしゃいます。(冗談抜きです。ほんとですよ)。これじゃ話が終わって訳を始める時分には、この”i”が何の”i”だったか、吹っ飛んでること確実に請け合いです。

さてさて、ワタクシの作成した架空のメモをもとにいろいろとメモとりの「コツ」についてお話してきましたが、通訳者として、うまくメモとお付き合いするために心がけていただきたい大切なことについて、いくつかお話したいと思います。ひょっとすると今までお話した「コツ」よりも更に大切なことかもしれません。

メモに頼り過ぎないこと!

前回もお話しましたが、スピーカーの言ったことを全てメモにとるなどという芸当は、速記でも出来ない限り、不可能です。全ての情報をメモに残すことが出来ない以上、メモはあくまでも頭の中できちんとしたリテンションした内容を引っ張り出すための、補助的な役割を果たすことしかできないのです。

良く、通訳学校の初級クラスの生徒さんで、メモを一心不乱に見つめながら、10秒も20秒もうんうんうなっている方がいらっしゃいますが、それじゃいつまでたっても訳は出てきませんって!(あ、本当にうなっている方はあまりいらっしゃいません。どちらかというと比喩です(笑))こういう方はメモと上手くお付き合いできていない、ということになります。

私は、特にそういう生徒さんたちには、

メモはリテンションの呼び水として使うようにしましょう

アドバイスしています。ちょいとわかりづらいですかね(苦笑) つまり、理想的なメモとは、メモに書いてある一つの単語を見れば、芋づる式に、それに関連・付随する情報が2つ3つリテンションから引っ張り出せるようなもの、というものではないかと思います。

もう一度最初に提示した私のメモを見てくださいませ。もとの文章の中の全ての単語あるいは情報がメモられているわけではありませんよね。そこにあるのは「私にとっての」キーワードです。「私であれば」このメモにある情報を見れば、その周りにある情報を自分の頭の中から引っ張り出して、文章中の全ての情報を再現することができます。(多分・・・二日酔いでなければ(笑)) 

なぜに「私」を強調しているかというと、これらのキーワード、つまり「呼び水」、あるいは「どの蔓(つる)を掴んで芋を引っ張りあげるか」はあくまで私のものであって、違う通訳者の方であれば、また違ったキーワードを選んでメモを取るであろうからです。

この記憶の呼び水となるキーワードをどうやって選ぶか、これについては今のところ確固たる方法論は存在していないのではないかと思います。多分どんな通訳者の方に聞いても、自分がどういう風にキーワードを選んでいるか、論理的に答えることの出来る人はいらっしゃらないのではないかな、と思います。

メモは読まないこと!

え!?せっかく取ったメモを読んじゃいけないの? じゃあどうしろってのよ?

こういうことです。

メモは読まないこと。なるべく「俯瞰的に」「眺める」ようにしてください。

これも通訳訓練を始めたての方々に比較的多くみられるケースなんですが、訳出を聞いていると、精度はそこそこなんだけど、構文がやたらと不自然で、聞き手からすると、とてもわかり辛い訳になってしまっていることがあります。

そこでこんな質問をしてみます。

「ひょっとして、メモを上から下へ順番に一つずつ読みながら訳してませんか?」

結構な確率で「イエス」という言葉が返ってきます。

ごくごく当たり前の話ですよね。メモを取る順番はどうやったって原文のセンテンスの順番でしか取れないわけです。一方で、英語と日本語は文法的な構造が全く異なりますので(いわゆるSVO構文とSOV構文の違い、あるいは修飾が前にくるか後にくるかの差、等々)、特に逐次通訳においては原文の情報をいかにきちんと整理して、訳文の言語にとって一番自然な順番に並び替えて構文を作れるかが肝となるわけです。原文の順番どおりにとっているメモを頭から順番に読んでしまったとたんに、そのような「並び替え」が不可能になってしまうわけです。

ちなみにそういう生徒さんに比較的多く共通する傾向として、メモに顔にくっつけんばかりに近くで見ているってのもありますかね。多少大げさですが(笑)

メモはある程度離して眺める様にしましょう。



考えなくても自動的に手が動くようにしましょう

これもまた、通訳学校の生徒さんたちに何度か相談されたことがあるのですが、

「メモをとりながら訳していると、メモをとるのに気をとられて、原文の内容を聞くことができなくなってしまいます」
これは困りますね。やはりメモと上手くお付き合いができていないようです。

抽象的な言い方で恐縮なんですが、話を聞くこととメモをとること、二つのことを同時にやっている、という感覚ではよくないのかな、と思います。聞いて、理解して、記憶して、その延長線でメモをとっている、という全てが一連の思考プロセスで出来るようにしなくてはならないのかな、と。その境地に達することが出来るよう日々練習を重ねて下さい。

自分などは会社員時代に会議の書記などを務めることが結構ひんぱんにあったので、初心者のころからこの点は割りとよく実践できていたように思えます。

それと細かいことですが、パソコンや携帯電話・その他のデバイスがとても普及している現在、普通に生活していると、意外と手書きで文章を作成する、ということが少なくなっているのかな、と思います。私は、それではいけないなと思い、通訳以外のメモなどもなるべく手書きでとるようにしております。

余談ですが、私、学生時代からとにかく死ぬほど字が汚いと周りから言われ続けてきました。しかし、通訳者になってから10年強、最近ちょっとだけ字が綺麗になってきたように思えます。どれくらい向上したかというと、前は自分ですら読めない字が多かったのが、今は殆どの字が少なくとも自分には読める程度にはなりました(笑)

例えば、通訳学校に通われている皆様であれば、授業のノートなどはなるべく手書きで作成したほうがいいんじゃないかと思いますよ。

最後に、心構えとして持っていただきたいのが

ノートテイキングは練習しなきゃ上手くなんない!

ということです。
これまでお話してきたコツ、特に記号や略称を使いこなしたり、あるいは心がけることの中でお話してきた、上手いキーワードの選び方、メモを「眺める」習性、あるいは考えなくても手が動いている境地、といったことは全て、何度も繰り返すうちに徐々に身についてくるものではないかと思います。

ということはつまりノートテイキングはある程度、量をこなさなきゃ上手くなんないよ、ということです。

通訳学校に通われている方も、独学でトレーニングに励んでいる方も、とにかく練習においてメモを取るようにして、ノートテイキングを少しでもたくさんこなせるようにするのが上手いノートテイキングへの、一番の近道ではないかと思います。

ただし、私は現在ISSインスティテュートにおいて、通訳訓練が初めてという方が多くいらっしゃるようなクラスでは、ノートテイキングの訓練は(半年間の学期の中で)後半の授業までは、やらないようにしています。これは、聞いて理解して記憶して訳すというプロセスがまずは頭の中で確立していない初心者の方がいきなりノートテイキングに気を取られてしまうと、却って弊害のほうが多いことがあるからです。

目安としては、1-2センテンスをメモなしで、ある程度きちんと訳す力がついてから、ノートテイキングの練習を始める、というのがいい塩梅なタイミングなのではないかな、と感じております。

通訳者のメモの取り方について(1) [通訳よもやま話]

こちらの投稿については、2009年に株式会社 アイ・エス・エスのウェブサイトのコラムとして寄稿されたものに、筆者が若干の加筆を加えて、当ブログサイトに「引っ越し」てきたものです。(アイ・エス・エスのウェブサイトでの掲載はすでに終了しております。)ご了承くださいませ。

本当に訓練をしなければ、通訳はできないのか?&ノートテイキング(1)

皆様、お元気ですか?

ちょっと前ですが、通訳者として気になるニュースがありました。

グルジア政府が、日本政府に対して、自分たちの国の名前を、「グルジア」ではなく「ジョージア」にしてほしいと要請したとのこと。そう、日本ではグルジアと知られている彼の国、実は英語ではGeorgia, Ray Charlesがわが心の・・・と歌ったアメリカ南部の州、そして日本では缶コーヒーでおなじみ、ジョージアと同じ名前だったんです。

私も最初、確かJapan Timesだったと思うのですが、Georgiaという国名を見たときに、どの国のことかさっぱりわかりませんでした(苦笑) 仕事中のことでなくて本当によかったです(笑)

「グルジア」というのはもともとはロシア語読みなんだそうで、紛争を経て、反露感情が高まる中、自分の国名をロシア語で表記されることを嫌ったということだそうです。

ジョージア、と言われてアジアとヨーロッパと中近東の境目に位置するこの国を思い浮かべるのもなかなかに難しいような気もしますが、グルジアと言われたのを英訳するのにGurudiaなどといったあり得ない国名を口走って恥をかく、ということがなくなることを考えれば、通訳者としてはありがたい、ということになるのかな?

実は、英語でも日本語でもない固有名詞って英語通訳者にとっては鬼門だったりします。

Florence, Bavaria, St. Petersburg, Forbidden City, Guangzhou, Liu Bei / Guan Yu / Zhang Fei

全て「日本語」で言えますか・・・?(笑) 全て皆さんが良くご存知の固有名詞だと思いますよ。
答えはヒミツです。ググればすぐに答えは見つかりますよ。

ちなみに、英語の発言の中の日本の地名ってのも結構な鬼門だったりします。以前、通訳学校の授業で、アメリカ人がNagoyaといったのをそこにいらした10名以上の生徒さんが一人も聞き取れなかったってこともありました。(コンテキストから日本の地名が出てくる、と予想できるような文ではなかったこともありますが)

さてさて、しょっぱなから大脱線気味に始まりましたが、今回はまずはやや刺激的な命題:

『バインリンガルなだけでは、きちんと通訳技術を学んでいなければ、通訳は出来ない』というのは本当なのか?

こちらについて考えて見ましょう。
いきなり結論から申しますと、必ずしもそうとは限らない、ということになります。私の過去の経験から、実は、ごく限られた状況においては全く通訳の訓練を受けていないバイリンガルさんが、通訳者として何とか機能してしまうことがあるのではないかと考えています。そのための条件とは:

1.二つの言語において極めて高い運用力を持っており、二ヶ国語をほぼ完璧に操ることが出来る。
2.ある程度の小規模の、数名程度の打ち合わせにおける通訳である。
3.通訳する話題が、たとえば自分の社内、同じ部門内の自分の担当業務に密接に関連するような話題で内容を熟知している

この条件が満たされている場合、通訳訓練を全く受けていない方でも通訳として何とか機能できてしまうことがあります。

1.については説明の必要はありませんね。

2.については、少人数であれば通訳者がその場を仕切りやすい、つまりリテンションで落とした内容を発言者に聞きなおす、発言が長くならないうちに、適当なところで訳を割り込ませる、あるいはなんちゃってウィスパリングで、自分の訳出を半分、発言にかぶせてしまう、ということがし易いですし、また話者も通訳の存在をきちんと意識しやすいので、発言のスピードや区切りを、通訳者のやり易いように気遣い、調整してくれるケースが多いからです。つまり通訳技術が不足しているのをごまかし易い環境なわけです。

大きな会議になればなるほど、通訳者が逐次なら逐次、同通なら同通のフォーマットをきちんと守って訳をしなければ、会議の進行を大きく妨げてしまう結果となります。

そして多分一番大切な条件としては、
3. つまり、自分がすでによく知っている話であるだけに、話を理解するにあたって、何の苦労もない。この連載2回分をフルフルに使ってくどいほどに力説した(笑)通訳における重要なファクター「理解」をさほど労せずして確立できるという点において、通訳作業に係る負担を大幅に軽減することが出来る・・・。

こんなケースも、また、やはり通訳において「理解すること」がいかに大事なのかを端的にしめしているんではないかと思います。

ただし、これだけ恵まれた条件であっても、通訳技術を学んでいない方の訳出は、精度の欠けるものになりがちではあります。特にディテールにまで及ぶ精度の追求が甘い、あるいは自分の私見を訳に入れてしまう誘惑に抵抗できない、という傾向は強いように思えます。

極端なケースだと、そりゃあなた、今のは隣に入るこのヒトの発言じゃなくて、あなたのご意見でしょ、ってくらい訳が原型をとどめていないことも(笑)このあたりは技能的な問題というより性格的な問題も大きいのではないかとは思います。

ちなみにこの3つの条件が整わないケースで所謂、即席通訳さんが通訳を務めざるを得なかった場面にも何度も遭遇したことがありますが、まあ、やはり可愛そうなくらいに仕事が出来てませんでした。

こういったことを考えていくと、きちんと通訳技術を身につけていなくても、通訳とは別の仕事の傍ら、必要にかられて、ちょっとした通訳を行うことができるレベルには到達できるということはいえるのかもしれません。ただし、幅広い分野において、いかなるシチュエーションにおいても、クォリティの高い、売り物に出来る通訳が出来るようになるためには、やはり、なんらかの形での訓練は必須なのではないかと思います。

さあ、理解の話はさすがにこれくらいにして、今回の目玉(?)コンテンツ、逐次通訳におけるリテンションにおいては欠かすことができないであろう、メモの取り方・ノートテイキングについて:

通訳者のメモの取り方ですが、実はこれといって確立された方法論があるわけではありません。(少なくとも私の知る限り、日英の通訳の世界においては)現場で活躍されている通訳者は皆さん、それぞれが自身の訓練・実践の中で積み上げてきた独自の方法論でメモを取っているのが現状ではないかと思います。

ただし、そんな中、多くの通訳者が共通して守っている基本が幾つかあるのも確かです。そういったノートテイキングの基本について、ワタクシ独自のメソドロジーなども織り交ぜつつ、今回、そして次回と見ていきたいと思います。(すみません、前半で余談に紙面と時間を割きすぎたため・・・もとい、ノートテイキングについても、当初の筆者予想以上に内容が濃くなりそうですので、今回次回の二回連載としとうございます。前回予告した数字の話は、また次回以降に。)

まずは論より証拠? 百聞は一見にしかず? ワタクシが今回のエッセイの冒頭数パラグラフを逐次で通訳しなきゃならない羽目に陥ったとしたら、こんなメモをとるのではないかと思います。


ISSメモ003Small.jpg


さてこのメモを元に、ノートテイキングの基本を見ていきましょう。

メモは縦に取る!

これは現役通訳者の多分95%以上が守っているであろう、ノートテイキングにおける基本中の基本の一つとなります。縦に取るといっても何も400字詰めの原稿用紙に書くようないわゆる縦書きをしろってわけではありません。
ほぼ85%の通訳者はメモ用紙を見ると立てに1本、ないし数本線を引っ張って、まずはメモ用紙を幾つかの列に区切ります。その上で、上図のように、単語を縦に重ねてメモをとっていきます。

なぜ横ではなく縦かといいますと、単語を横方向に並べると、当然一行あたりにとれるメモの情報量は限られてしまいます。ってすると、同じ量のメモをとるにしても、数行に分けてメモをとることになりますよね。そうすると、訳出する際にメモを目で追いかけるときに、改行ごとに視線を大きく切りかえなくてはなりません。細かいことのように思えますが、訳出の最中、脳みそがすでにフル回転している状態では、この程度の小さな負荷も、相当な負担となってしまいます。また急いでメモをとっている中、情報がごちゃごちゃになってしまい、どこからどこまでが一行なのかすらわからなくなってしまうこともあり得ます。

縦書きであれば、より多くの情報を、一列で、視線を折り返すことなく確認することが出来ますし、縦に線を引っ張っておけば列と列がごっちゃになってしまう混乱も避けられます。

少し大げさかもしれませんが、訳出という脳みそに極限の負荷がかかる作業中に、少しでも脳みそへの余計な負担や小さな混乱を避けるために、メモは縦に取るのが鉄則となります。

どんな情報をメモるの?

当然のことながら、人様が普通のスピード話す内容のメモを取るわけですので、全ての単語・情報をメモることは不可能です。メモにとるのは「キーワード」のみとなります。では発言の中のどういった情報、単語をキーワードとして捉えるか、ここはまさに、通訳者がそれぞれ積み上げてきた独自の方法論で、千差万別のやり方でこなしている部分になるのではないかと思います。名詞、主体に取る人、動詞主体に取る人、いろいろなアプローチがあるのではないかと思います。というわけで、こういった品詞・情報・単語主体にとりなさい、ということは一概には申し上げられません。

こうしたキーワードの捉え方については、また後ほど、次回も少し触れたいと思います。

但し、この情報だけは、必ず取りなさい!という情報が幾つかあります。

1. 数字 2. 知らない単語 (音だけはきっちりとメモる) 3. アクロニム(アルファベット等の無味乾燥な組み合わせによる略称) 4. 固有名詞(特に知らない固有名詞) 5. コンテキストの係らない、無味乾燥かつ情報の並列な羅列

これらの情報に共通して言えるのは、前回ご紹介した「意味記憶」で記憶しなければならない情報であること、覚えるに当たって、「理解」や「コンテキスト」といった圧縮ツールを使えず、メモに頼らなければ、とにかく丸暗記するしかない、いった情報になります。丸暗記は脳みそにいらない負担をかけますし、そもそも訳出を行っている最中にほぼ確実に暗記した内容を忘れてしまいますので、必ずメモるようにしましょう。

1.数字については、ポイントが二つあります。一つは、必ず単位まで取ること!円なのかドルなのか、台数なのか、回数なのか、人数なのか、年数なのか、これくらいメモっておかなくても覚えておけると思うかもしれませんが、訳を必死になって搾り出している作業中においては、いとも簡単に今の金額がドルだったのか円だったのか忘れたりします。また例えば、毎秒何メートル、年間○×円、といった○×毎、○×当り、という情報まできちんとメモをとるようにしましょう。

二つ目は、どんなに小さな・簡単な例えば一桁の数字でもメモること!5人、3回、4周年などといった小さな数字、これくらいメモっておかなくても覚えておけると思うかもしれませんが・・・以下同文

2.知らない単語について、これも、発言者に質問をするのであれ、分からない英単語を強引にカタカタで日本語化してしまうのであれ、どんな発音の単語だったか、音だけはメモっておかないと、知らない単語だけに、すぐに忘れます。

5.例えば「この条約の加盟国は、アメリカ、日本、中国、韓国、ロシア、ベトナム、タイの8ヶ国です」といった文章の場合、国名については全て何らかの形でメモを残しておかないと、頭の中だけでリテンションをキープするのは難しい(知らない単語が出てきたらとにかく音だけでもメモにとっておく)

メモはどちらの言語でとるの?

これも正解はありません。日本語だけ・英語だけでとるのか、ターゲット言語でとるのか、ソース言語でとるのか、漢字を使うべきなのか、カナだけにするのか、決まりはありません。

私個人のやり方としては、発言を聞いた瞬間にいい訳が浮かんだようであればターゲット言語で、ちょっとこの言葉の訳し方は迷うな、といった場合は当然、ソース言語のまま、メモをとります。あとは、瞬間的かつ本能的に、画数が少なくて済みそうなのはどちらか判断しながら取っていますかね。例えば、鬱病、と言われたら、さすがに漢字でメモをとることはしないのではないかと思います(笑)

さてさて、メモについては、まだ何点か、基本的なお約束事項が残っておりますので、次回もメモ取りのお話が続きます。

同業者? [通訳よもやま話]

本日午前中は、とある投資家ととある、ここ10-20年で急成長してきた激安小売チェーンの会社とのミーティングの通訳のお仕事でした。

激安小売チェーンのほうは会社のCFO(Chief Financial Officer、まあ経理・財務部長の親玉みたいな役職です)の方でした。

そのCFOの方の女性セクレタリー(バイリンガル)の方も会議に参加されていたのですが、やけに真剣にワタシの通訳を聞いており、訳出のたびに、微妙に表情を変えています…。(妙に納得した表情だったり、ちょっと何か言いたげな表情になったり)

手元のメモを見たら…そのメモの取り方はあなた、同業者じゃないですか(笑)
(通訳者のメモの取り方は独特なので、同業者が見るとすぐわかるのです)

会議終了後、エレベーターの中で:

ギタリスト:○×さん(セクレタリーのお名前)は普段は通訳もやってらっしゃるのですか?

セクレタリー:いえ、仕事ではあまり…まだ学校で勉強中です。

ギ:(やべ、うちの学校じゃないだろうな!)どちらでお勉強されているのですか?

セ:S(某大手エリート通訳養成機関(笑)の名前)です。

ギ:ああ、そうなんですか!

同業者が同席している場でパフォーマンスを見せなきゃいけないのって、緊張しますけど、ワタシャ、結構に負けん気が強いほうなので、アドレナリンが出て燃えますね。さて、彼女の目に今日のワタシのパフォーマンスはどのように映ったことやら…。

閑話休題、

本日の演奏活動のご案内など:

2010/5/17(月) 丸尾 一平@高田馬場「四谷天窓」 第三十五回 泡盛大会

わらぶー/漢那ゆき/佳代/よしえ/丸尾一平
18:30op/19:00st ¥1,500(ド別)
※お手製逸品沖縄料理あり

四谷天窓ウェブサイト:http://www.otonami.com/tenmado/news/index.htm

丸尾一平はトップバッター、19:00からの演奏開始となります!
沖縄とは縁もゆかりもない、ワタクシ、酒飲み、という理由だけでこちらの企画に二回目のお呼ばれとあいなりました。私が演奏する日にはめずらしく女性アーティストが多い模様です(笑)

わらぶーさんの、ゆるーく心地よい、素晴らしい演奏は必聴です!
高田馬場に居ながらにして、沖縄に行った気分になれるはずです。

2010/5/29(金)
『BYP? presents 梅島池袋化計画 Vol.8』 at 梅島 Yukotopia

19:00 Open 19:30 Start Charge 2,000 Yen

http://www.yukotopia.jp/
会場tel: 03-3886-2996

東京ジャムシーンの総本山、Yukotopiaにて、いんちきジャムバンドBeg Your Pardon?がお送りする企画「梅島池袋化計画」第七弾!今回も僭越ながらBYP?が敬愛するミュージシャンの方々と共演いたします。

今回のご出演は、「フランス人」「佐竹透」「タジユキヒロ」、そして先日ユーコトピアで対バンし、その場でスカウトさせていただいた、ゆる系ロカビリーバンド、"The Holidays"! そして不肖BYP?の5組の予定でございます。

ハートロッカー~カタカナ英語で勘違い! [通訳よもやま話]

ハートロッカー、見てません。

ここしばらく映画館どころかDVDでも映画はとんとご無沙汰です。
最後に映画館で映画見たの、確かレッドクリフのパートⅡだったかしら、と思ったらあれは出張帰りの機内の映画で見たんだったことを思い出しました。数年ほど映画館から足が遠のいているかもしれません。

それでもって、ハートロッカー。

最初は「ハード」ロッカーだと勘違いしてました。 ああ、anvilの二番煎じのような映画かしら、などととんでもなく誤解してました。

その後、「ハートロッカー」であることに気づき
ああ、心を揺さぶるような感動巨編なのね、Heart Rockerなどと更に勘違いしていたら、本当はHurt Lockerでした。痛いロッカー?ああ!

げに恐ろしきはカタカナ英語かな。

ちなみに当たり前と言えば当たり前なお話ですが、カタカナで表記した時に同じになってしまう英語の発音のバリエーションって日本人にとっては鬼門だったりします。最もポピュラー(?)なのはRとL、あとはSとShとThとか、dとthですとか。母音ですとこの、heartとhurtの差なんかも私達は不得手ですよね。一つジャングリッシュのよくありがちな傾向として、Heartの「アー」をHurtの「アー」のように発音してしまうことではないかと思います。

通訳学校の生徒さんたちにも比較的ポピュラーに見られる症状ですね。

閑話休題 演奏活動のご案内です。

ご参考まで、本日3/23(火)はFFRは早い時間帯は貸し切り営業にて、通常営業は21:30からです。四谷天窓に酔って、じゃない、寄ってからぶらりと行くと結構タイミングがよいのではないかと思います(笑)


3/23(火) 丸尾一平 @ 高田馬場「四谷天窓」
 
18:30 OPEN/19:00 START/チケット代¥1,000- (1DRINK別)

出演(順不同):丸尾一平/坂上智守/Snow drop/蝦夷~ezo~/カンノナホ

丸尾一平は出演5組目、最後21:00過ぎの演奏開始となります。

当日のコンセプトはHeartful Night、心打つ話の一つでもしなくてはならないのでしょうか?
ちなみにほぼ毎度お断りしておりますが、曲間の私のしゃべり、ためになること、よい話、感動できる話、いやされる話などなど、一切ございません。ほぼ確実に、とてつもなくくだらないことしかしゃべりません(笑)

あいも変わらず、場違いかつロックに弾き語ります。
http://www.otonami.com/tenmado/news/index.htm

2010/3/26(金)
『BYP? presents 梅島池袋化計画 Vol.7』 at 梅島 Yukotopia

19:00 Open 19:30 Start Charge 2,000 Yen

http://www.yukotopia.jp/
会場tel: 03-3886-2996

東京ジャムシーンの総本山、Yukotopiaにて、いんちきジャムバンドBeg Your Pardon?がお送りする企画「梅島池袋化計画」第七弾!今回も僭越ながらBYP?が敬愛するミュージシャンの方々と共演いたします。

出演:(順不同・出演順未定):タジユキヒロ、汗、富山馨4、nanoyellow、Beg Your Pardon?

通訳者の小さな悩み [通訳よもやま話]

先日、とある企業のVIPなお客様のためのとってもセレブな新年パーティにていわゆる「アテンド通訳」をする機会がありました。

アテンド通訳=観光・買付け・空港からホテルまでの送迎、その他外国のお客様が日本国内で行動をする際に、お手伝いをする通訳。ミーティングやカンファレンス等の「会議」通訳と区別されることが多い。

結論=世の中、お金ってあるところにはあるのですね。

不景気はどこへいっちゃったんだって感じでした。

ホスト企業の外国人重役に張り付いて、お客様との会話のお手伝いをするわけですが、こういう通訳の際に最近、やや悩ましいのが、「訳すべきか訳さざるべきか」の判断です。

会議等の通訳と比べるとこのテの通訳にその場の雰囲気を壊さないことが求められます。(会議通訳にもある程度は必要ですが)

今回は特に英語に堪能なお客様も多かったのですが、お互い英語で会話が成立しているのであれば、通訳の必要はありませんし、必要以上に通訳者がしゃしゃり出れば雰囲気がおかしくなってしまいます。
そういう場合は、通訳は横に控えていることになります。
とは言え、当然、食事やお酒をいただくことは出来ないのがつらいところ(苦笑) …今回は立食パーティでした。

英語が堪能なお客様であれば、安心して「控えて」いられる、多少気を抜いて周りのセレブなお客様の観察などもできます(笑)し、逆に全く英語が出来ないお客様であれば、通訳に集中して一言一言を全て、なるべく丁寧に訳します。迷う必要はありませんね。

困るのが、堪能ではないけれど英語がある程度できます、というお客様との会話のケースです。

たどたどしい英語であってもお客様が英語で話されているのであれば、たとえ、通訳者が「ここは自分が通訳したほうが早い」と思ったとしても、割って入るのは無粋というもの。(下手すれば、「あなたの英語はなっちゃいません」という風にとられてしまいかねません(苦笑))

さりとて、必要ないと思って油断していると、「いまの英語は訳してくれないと分からない」といったような顔をされて通訳者があわてふためくこともあります。

こういう場合、お客様の顔色をみつつ、会話がきちんと成立しているか、発言が理解しているかを判断しながら、通訳に入るタイミングを伺うわけですが、これがなかなか難しい!

今後、日本人の英語力が向上していくにつれ、こういった「空気を読む」通訳の必要が増してくるのかもしれませんね。

微妙に「KY」(古!)な私としては、つらいところです。

さてさてライブのご案内です。

本日!

2010/1/29(金) 『BYP? presents 梅島池袋化計画 Vol.6』 at 梅島 Yukotopia

19:00 Open 19:30 Start Charge 2,000 Yen

http://www.yukotopia.jp/
会場tel: 03-3886-2996

東京ジャムシーンの総本山、Yukotopiaにて、いんちきジャムバンドBeg Your Pardon?がお送りする企画「梅島池袋化計画」第六弾!今回も僭越ながらBYP?が敬愛するミュージシャンの方々と共演いたします。

出演: 


【タジユキヒロ】
大阪よりのギタリスト、当企画に二度目のご出演! そこはかとなく昭和歌謡の香り漂わせるメロディーに乗せて、切ない肉食女性の心情を歌いあげる、代表曲「恋はハイエナジー」、必聴です。今回も弾き語りでこってり…失礼、しっとりと。

代々木原シゲル】
若い!熱い!天下無双のストリートミュージシャン、梅島に、そして『梅島池袋化』に初見参!
きっと、梅島池袋化企画を代々木原化してくれることでしょう。もはや何の企画か地理的に意味不明ですな(笑)
http://ameblo.jp/yoyoshi0111/

【Beg Your Pardon? 】
ルックスだけが取り柄の「ハチャメチャ」(代々木原氏談)てんぷくトリオ、いつも通りの脱線ステージをお届いたします。

2010/2/17(水) Beg Your Pardon? @ 西池袋Free Flow Ranch
 
1st 20:30 / 2nd 21:30 / no charge 投げ銭制
丸尾一平(vo/gt)、 じゃいあん(vo/bs)、 カトウジン(ds);
いつものインチキジャムバンドのホームゲーム
http://www.freeflowranch.com


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